Zenkenがインド人エンジニアの紹介で銀行と組む理由——伸びを決めるのは『受け入れ企業の数』

Zenkenがインド人エンジニアの紹介で銀行と組む理由——伸びを決めるのは『受け入れ企業の数』

目次

Zenken株式会社が、りそな総合研究所株式会社とビジネスマッチング契約を結びました。りそなグループの4行が、海外人材の活用を検討する取引先をZenkenに紹介します。

Zenkenのインド人エンジニア紹介は、候補者の数よりも受け入れる企業の数で伸びが決まりやすい事業で、今回の契約はその入口を広げる動きにあたります。

決算説明資料のKPIと、銀行・事業会社との提携の重ね方から、Zenkenの海外人材事業を読み解きます。

出典

この記事の要点

  • エンジニア紹介は149人で目標170人に届かず、会社は『比較的小さい企業からの引き合いが増えた』ためと説明している
  • 理系学生は毎年約5千人を確保しており、伸びを左右するのは受け入れ企業の数
  • 地方銀行4行に続き、りそなグループとも組んで企業開拓の窓口を広げた

Zenkenとは

Zenken株式会社は1975年創業、東京証券取引所グロース市場に上場する企業です(証券コード7371)。事業はマーケティング、海外人材、不動産の3セグメントで構成されています。

2026年6月期の売上高は5,815百万円です。最も大きいのはWebマーケティング事業を中心とするマーケティングセグメント(3,768百万円)で、海外人材セグメントは1,578百万円です。

海外人材セグメントには、エンジニア・介護などの海外人材紹介と定着支援を行う人材事業と、法人向け語学研修・留学斡旋・日本語学校の運営などを行う教育事業があります。会社は、紹介後の日本語教育や受入支援を『祖業の教育で培った』力と位置づけています。

2025年8月に公表した中期経営計画『Road to 250』では、2030年6月期に売上高130億円、営業利益30億円を目標に置いています。海外人材セグメントの売上高構成比は、2025年6月期の25%から43%へ引き上げる計画です。

何が起きたか

Zenkenは2026年11月、りそな総合研究所とビジネスマッチング契約を締結したと発表しました(契約日は11月1日)。

りそな総研が窓口となり、りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらい銀行・みなと銀行の4行が、海外人材の活用を検討する企業をZenkenに紹介します。りそなグループは、首都圏・関西圏を中心に約50万社の法人顧客を持っています。

連携の対象は次の2つです。

  • 海外エンジニア人材の紹介・定着支援:インド・ベンガルールを中心とする工科系大学50校以上との提携をもとに新卒人材を紹介し、内定後の日本語教育や入社後のカウンセリングまで提供する
  • 開発ラボ立ち上げ支援『ZenNxt Labs』:2026年8月に本格展開したサービス。インドの高度ITエンジニアによる開発チームを、業務委託型で小さく始められる

背景として会社は、経済産業省の推計(2026年3月)で、2040年にAI・ロボット等の利活用人材が約340万人、理系の大学・大学院卒人材が約120万人不足する可能性が示されている点を挙げています。

そのうえで本契約を、『Road to 250』で掲げる海外人材事業の成長を加速させる取り組みと位置づけています。

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トラキャリの視点:伸びを決めるのは「受け入れ企業の数」

決算説明資料を見ると、エンジニア人材の紹介人数(内定承諾ベース・単年)は2026年6月期に149人でした。前期の124人から20.2%増えた一方、目標の170人には届いていません。

会社はその理由を『企業規模が比較的小さい企業からの引き合いが増えた結果、想定よりも減少』と説明しています。一方で紹介企業数(累積)は169社と、目標の170社にほぼ並びました。

企業の数は計画どおりに増えても、1社あたりの採用人数が少ない企業の比率が上がると、紹介人数は伸びにくくなります。この事業の数字は、そうした構造で動いていると読めます。

供給側については、日本での就労を希望する理系学生を毎年約5千人確保していると会社は説明しています。

149人という紹介人数と並べると、伸びを左右しているのは候補者の数より、受け入れる企業の数と1社あたりの採用人数のほうだと考えられます。

目標も企業数を軸に組まれています。エンジニア人材は2027年6月期に紹介人数200人・紹介企業数220社、2030年6月期には500人・600社(累積)を目指します。

169社から600社へは約3.5倍です。既存顧客の深耕だけでなく、新しい企業との接点を大きく増やすことが前提の計画といえます。

ここで銀行との連携が意味を持ちます。会社はエンジニア人材の成長戦略として、『既存顧客の深耕・新規開拓』と並べて『提携銀行との連携・拡大』を挙げています。銀行連携にはアライアンス担当者を置き、深耕と提携銀行の拡大を進める方針です。

海外の新卒エンジニアの受け入れは、日本語教育や入社後の生活支援まで含めて検討することが多い採用です。日頃から経営の相談を受けている銀行の紹介を入口にすると、受け入れ経験のない企業にも検討のきっかけを作りやすい、とも読めます。

さらに今回の契約には、採用ではなく開発チームを持つ『ZenNxt Labs』も含まれています。いきなり新卒の受け入れに踏み切りにくい企業にも、別の選択肢を同じ窓口から示せる形です。

海外人材セグメントの現在地

海外人材セグメントの2026年6月期の売上高は1,578百万円(前期1,358百万円)、セグメント利益は137百万円(同64百万円)で、増収増益でした。

内訳では人材事業の売上高が870百万円と前期の630百万円から38.0%増え、セグメントの伸びを牽引しました。教育事業は法人向け語学研修の受注の伸び悩みなどで707百万円(前期727百万円)でした。

エンジニアと並ぶもう一つの柱が、介護・宿泊などの特定技能人材です。

  • 介護の紹介人数は173人で、目標の170人を上回った(会社は既存顧客からのリピート受注と大型受注を要因に挙げる)
  • 宿泊・外食業等の紹介人数は27人(目標20人)
  • 特定技能人材の紹介人数は合計200名で、前期の81名から146.9%増えた

2027年6月期の会社見通しでは、海外人材セグメントの売上高を1,755百万円としています。

関連動向:販路を外部の顧客基盤に広げる

Zenkenは中期経営計画の初年度に、販売ネットワークを外部と組んで広げる提携を重ねてきました。決算説明資料(2026年8月)で示された主な提携は次のとおりです。

  • 地方銀行4行との業務提携:山梨中央銀行、鹿児島銀行、八十二銀行系、三十三銀行。地方銀行の顧客基盤を活用した販路拡大を目指す
  • フルキャストHDとの資本業務提携:同社が持つ12万6千社以上の顧客基盤を活用した販路拡大を目指す
  • グラフィックHDへの出資と資本業務提携:同社が運営・提携する宿泊施設への人材紹介と定着支援の増加を目指す

このうち三十三銀行との提携(2026年7月)は、三重県・愛知県を中心に店舗網を持つ同行の取引先に、エンジニア人材と介護分野の特定技能人材を紹介する内容でした。

地方銀行に続いて、首都圏・関西圏に顧客基盤を持つりそなグループと組んだことで、Zenkenが企業と出会う窓口は地域の面でも広がったことになります。

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