
株式会社YOUTRUSTの営業支援サービス「YOUTRUST SALES」が、立ち上げ1年でARR(年間経常収益)1億円を突破しました。
採用支援で知られる仕事専用SNSが、同じユーザー基盤の上で『営業』という別の予算を取りに行き、それが数字になり始めています。
1年間で何を変えたのかを追うと、YOUTRUSTという会社の事業のつくり方が見えてきます。
出典
- 株式会社YOUTRUST セールステック事業部長 note「YOUTRUST SALESが立ち上げ1年でARR1億を超えるまで。新規事業立ち上げ1年間の軌跡」(2026年10月29日公開)
- 株式会社YOUTRUST プレスリリース「株式会社YOUTRUST、労働生産性を上げる2つの企業向け新ソリューションを提供開始」(2025年6月25日)
- 株式会社YOUTRUST「会社概要」/「YOUTRUST SALES サービスサイト」(2026年11月4日確認)
この記事の要点
- 立ち上げ1年でARR1億円。通期で平均単価は1.8倍になり、短期プランの割合は64%から0%になった
- 伸びの軸は商談の『数』から『質』へ。訴求を「商談をつくれる」から「質の高い商談で受注につながる」に切り替えた
- 1つの仕事専用SNSの上に、採用・広告・営業・調査の法人向け事業を重ねていくのがYOUTRUSTの事業のつくり方
株式会社YOUTRUSTとは
株式会社YOUTRUSTは2017年12月に創業し、東京・渋谷に本社を置いています。
仕事専用SNS「YOUTRUST」を運営し、ビジョンに『日本のモメンタムを上げる偉大な会社を創る』を掲げています。正社員は117名(2026年5月時点)です。
個人向けにはSNSとビジネスメディア「ユースタ」を、法人向けには次の4つのサービスを展開しています。
| サービス | 領域 | 会社の説明 |
|---|---|---|
| YOUTRUST TALENT | 採用支援 | 独自のタレントプールから採用できるネットワークリクルーティングサービス |
| YOUTRUST ADS | 広告支援 | プラットフォーム上でBtoBマーケティングや採用広報ができる広告ソリューション |
| YOUTRUST SALES | 営業支援 | 営業ターゲットに1to1でダイレクトアプローチできるABMサービス |
| YOUTRUST INSIGHT | 調査支援 | デジタル人材を中心とした有識者に話を聞けるエキスパートインタビューサービス |
2025年6月のプレスリリース時点で、SNSの会員登録者数は約40万人、累計導入企業は約1,500社です。YOUTRUST SALESのサービスサイトでは、登録ユーザーを『50万人+』としています。
何が起きたか
株式会社YOUTRUSTのセールステック事業部長が2026年10月29日、YOUTRUST SALESが立ち上げ1年でARR1億円を突破したとnoteで明かしました。
YOUTRUST SALESは、仕事専用SNS「YOUTRUST」上で企業の決裁者やキーパーソンに直接メッセージを届け、商談を獲得する営業プラットフォームです。2025年6月25日に、スポットコンサルティングの「YOUTRUST INSIGHT」と同時に提供開始が発表されました。
料金は初期費用+月額費用で、成果報酬や従量課金はありません。送信するメンバーの数に応じてプランを組む形をとっています。
同社は9月末決算で、noteは2026年9月期(2025年10月〜2026年9月)の1年間を振り返っています。
- 立ち上げ時のチームは4人で、うち2人は入社2年目だった
- 1Qの事業目標は、すべて140〜150%で推移した
- プランの改定で、通期の平均単価は1.8倍に伸びた
- 短期プランの割合は64%から0%に下がった
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トラキャリの視点:『商談の数』から『受注につながる商談』へ、価値の定義を書き換えた1年
1年の伸びを読み解く手がかりは、売り方の変化にあります。
noteによると、上期(10月〜3月)は『とにかく商談をつくれる』点を打ち出していました。4月以降は『質の高い商談で受注につながる』へ訴求を切り替えています。
きっかけは、顧客から届いた「中身の濃い決裁者商談ができた」「通常の4倍の単価で受注につながった」といった声でした。
訴求を変えた結果、導入前後の期待値のずれが小さくなり、期待した成果とのギャップを理由にした解約も減ったと書かれています。
平均単価1.8倍、短期プラン0%という数字と並べると、『まず試す短期利用』から『費用対効果を確かめながら使い続ける契約』へ軸足が移った1年だったと読めます。
ARRは継続課金の積み上げで決まる指標なので、長く使われる契約が増えることがそのまま数字に表れます。
もう1つ、事業部長自身が『ご契約いただいたら自動的に商談が生まれるサービスではありません』と書いている点も、このサービスを理解するうえで大切です。
誰から、誰に、何を伝えるのかを顧客ごとに設計し、CS体制の再構築や、成果が出ている顧客の使い方を他社へ広げる取り組みまで含めて提供しています。
4Qの中心テーマも『ロイヤル顧客を増やす』で、ツールを売り切るよりも、成果が出るまで一緒に運用する事業として育てていることがうかがえます。
サービスサイトでは、メッセージの送信対象を『自社社員と共通のつながりがある人』としています。
人と人のつながりを入口にする考え方は、採用支援のYOUTRUST TALENTが掲げる『ネットワークリクルーティング』と同じ発想とも読めます。採用で育ててきたSNSの強みを、営業の場面に持ち込んだ事業と言えそうです。
深掘り:1つのSNSの上に事業を重ねる会社
2025年6月のプレスリリースは、YOUTRUST SALESとYOUTRUST INSIGHTの提供開始を『YOUTRUST Growth Ecosystem構想』という言葉とともに打ち出しました。
事業部長のnoteでも、副社長のnoteを引きながら『YOUTRUSTは新規事業を創り続ける会社です』と紹介しています。
採用(TALENT)、広告(ADS)、営業(SALES)、調査(INSIGHT)は、いずれも同じSNSのユーザー基盤を使う法人向けサービスです。
「HRサービスの会社」として見るより、「仕事専用SNSの上に何を載せるかを考え続ける会社」として見ると、事業ごとの役割が整理しやすくなります。
採用とは別の予算を取りに行ける営業支援は、採用市況とは別の収益の柱になり得るとも考えられます。
YOUTRUST SALESの次の一手として、noteは3つの領域での採用を挙げています。
- 成果のバトンをつなぐCSの支援体制の強化
- マーケティング・新規営業による、新たな企業との接点づくり
- AIも活用した、より精度の高いプロダクトへの刷新
立ち上げの1年で『受注につながる商談』という価値の定義を固めたYOUTRUST SALESが、次の1年でそれをどこまで仕組みにできるか。YOUTRUSTの事業の広がりを測る材料になりそうです。
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