ライフイズテックのAX研修から読む、法人研修の『受講単位』の広げ方

ライフイズテックのAX研修から読む、法人研修の『受講単位』の広げ方

目次

ライフイズテック株式会社が2026年9月29日、生成AIによる組織変革(AX)を支える法人研修2本の提供を始めました。

2本のうち1本は、部下30名以下の組織を率いるマネージャーを受講対象に据えています。

同社が3年かけて積み上げてきた法人研修の並びの中に置くと、今回の一手は『受講する単位』を個人から組織へ広げる流れの到達点として読めます。

出典

この記事の要点

  • 新設の2本は、マネージャー向けの『AXマネジメント レディネス研修』と、推進役・初心者向けの『AXレディネス研修』。
  • 同社の法人研修は、個人がAIを使う研修から、部署やチームで業務を作り直す研修へと受講単位を広げてきた。
  • どの研修も、ツール操作より先に課題の分解と構想から入る設計で一貫している。

ライフイズテックとは

ライフイズテック株式会社は2010年7月設立、東京都港区に本社を置く未上場のEdTech企業です。

『中高生ひとり一人の可能性を一人でも多く、最大限伸ばす』をミッションに掲げ、中高生向けのプログラミング・AIキャンプ&スクール、学校向けクラウド教材、法人向けのデジタル人材研修を手がけています。

学校向け教材『ライフイズテック レッスン』は、全国600以上の自治体で4,400校の公立・私立学校、約135万人が利用しています(2024年8月時点)。

デジタル人材研修なども含め、これまで200万人以上にデジタル教育を提供してきたと公表しています(2023年12月時点)。

何が起きたか

同社は2026年9月29日、法人向けDX研修の新ラインナップとして2本の研修を同時に始めました。

背景として挙げたのは、AIツールの導入が現場に広がる一方で『個人のタスク効率化』にとどまり、組織の業務プロセスが変わっていないという現状です。

AXマネジメント レディネス研修(AXM)

  • 対象:部下30名以下の組織のマネージャーなど、業務プロセス改善に責任を持つ立場の人(AIチャットツールの使用経験が前提)
  • 期間:2日または4日
  • 構成:AX基礎講座 → 組織内のデータをカスタムAIの『判断軸』として使う構想を練るワークショップ → 受講者自身の業務テーマで取り組む実践ワークショップ
  • 特徴:AIを『つかう』『育てる』『変える』の3ステップで学び、人とAIの役割分担を整理するフレームワークを使う

AXレディネス研修

  • 対象:AX推進リーダー、AXブリッジ人材(その候補となる新卒等を含む)、AI・デジタル活用の初心者
  • 期間:2日
  • 構成:コードを書く前に問題を分解する構想力ワークショップ → AIに指示して動くアプリをゼロから作るバイブコーディング&データ構造化ワーク → チーム開発ワークショップ
  • 特徴:『AIが実装し、人が試し、課題起点で改善する』ループを体験し、データベース設計の基本も扱う

マネジメント層と実務の推進層を、別々の研修で同時に育てる組み立てです。

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トラキャリの視点:受講する単位が『個人』から『組織』へ広がってきた

同社がここ3年で出してきた法人研修を発表順に並べると、今回の2本が置かれた位置が見えてきます。受講対象と中身が、段階的に変わってきているからです。

発表研修受講対象・中身
2023年6月AIレディネス研修前提知識不要。AIを日常業務で使い、課題解決まで実践する
2024年11月シチズンディベロップメント レディネス研修現場の非IT人材を、社内ツールで業務課題を解く『市民開発者』に育てる
2025年10月AIエージェントレディネス研修同じ業務の部署・グループで参加し、業務プロセスを再設計してカスタムAIまで実装する
2026年2月BIレディネス研修同じ業務のメンバーがペアやトリオで参加。実装担当と意思決定者の同席も想定
2026年9月AXレディネス研修/AXマネジメント レディネス研修推進役と、業務プロセスに責任を持つマネージャーを別々に育てる

最初は『一人ひとりがAIを使えるようになる』研修でした。

それが『現場で自分たちの道具を作る』研修になり、『部署単位で業務の流れを作り直す』研修、『意思決定者も一緒に受ける』研修へと進んできました。

今回、業務プロセスを変える権限を持つマネージャーを名指しで対象にしたことで、個人のスキルからチームの業務設計、さらに組織の意思決定までが一通り研修のラインナップで揃ったことになります。

3年前から変わっていない部分

もう一つ読み取れるのは、変わっていない部分です。

2023年のAIレディネス研修には『アルゴリズム思考ワークショップ』が組み込まれていました。

今回のAXレディネス研修でも、最初に置かれているのは『構想力ワークショップ(アルゴリズム思考)』で、コードを書く前に問題を分解する工程です。

BIレディネス研修もツール操作ではなく、業務目的・プロセス・データを先に整理する独自の『BIデザインの型』を中心に据えています。

扱うツールは生成AI、Power Platform、Power BIと移り変わっても、『道具を使う前に課題を分解して構想する』という設計思想は一貫しています。

ライフイズテックの法人研修を見るときは、ツールごとの講座の数よりも、この構想力を軸にラインナップを組み立てている点に同社らしさが出ていると読めます。

学校教育と法人研修をつなぐ線

同社はプレスリリースで、教育現場では『情報I』が必履修科目となり、2029年にはデジタルスキルを備えた世代が社会に参画すると述べています。

そのうえで、企業がデジタル人材の力を発揮させるには、日常的なデジタル活用が根づく組織文化の形成が必要だとしています。

学校向け教材で中高生のデジタル教育を担う同社にとって、法人研修は、その世代を受け入れる企業側の土台づくりという位置づけとも読めます。

マネージャー向けのAX研修は、この『受け入れる組織』の側に直接働きかける研修と考えられます。

関連動向:資金使途に並んだ企業向けDX研修

同社は2025年6月2日、シリーズEラウンドとして総額25億円の資金調達を発表しました。

使途として挙げたのは『学校向けクラウド教材事業および企業向けDX研修事業の拡大、AIを活用した教育分野でのサービス開発』です。

主力の学校向け教材と並べて企業向けDX研修の拡大を明記しており、その後の2025年10月のAIエージェントレディネス研修、2026年2月のBIレディネス研修、今回のAX研修2本と、法人研修の新設が続いています。

なお、法人研修事業単体の導入社数や売上は、今回確認できた公表資料には記載がありません。

同社は2026年9月、大学生向けの就活アプリもリリースしています。中高生向け教育と法人研修の間にある『学生から社会人へ』の接点については、ライフイズテックが就活アプリ『JRNY』で狙う、自己分析起点と大学経由の入り口で読み解いています。

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