ライフイズテックが就活アプリ『JRNY』で狙う、自己分析起点と大学経由の入り口

ライフイズテックが就活アプリ『JRNY』で狙う、自己分析起点と大学経由の入り口

2026年10月5日ニュースを読む
目次

ライフイズテック株式会社が、大学生向けの就活スマートアプリ『JRNY(ジャーニー)』を無料でリリースし、上智大学キャリアセンターとの共同実証を始めました。

中高生向けのデジタル教材で知られる教育事業者が、新卒の就職活動という領域に自社サービスで踏み込んだ形です。

企業や求人ではなく『キャリア軸』を起点に置く設計と、大学を通じて学生に届ける入り方の2点から、この一手を読み解きます。

出典

この記事の要点

  • JRNYが設計の起点に置いたのは『企業をどう探すか』ではなく『探す基準をどう作るか』
  • 学生に直接ではなく大学キャリアセンターと組む入り方は、学校経由で教材を届けてきた同社の流通構造の延長にある
  • 同社は将来、履修・成績・課外活動・就活をつなぐ大学全体の『キャリアOS』を構想している

ライフイズテックとは

ライフイズテック株式会社は2010年7月設立の教育事業者で、『ひとり一人の可能性を最大限伸ばす』をミッションに掲げています。

主力は中学校・高校向けのクラウド教材『ライフイズテック レッスン』です。
同社の発表では、全国600以上の自治体・4,400校以上で導入され、約135万人が利用しています。

ほかにも中高生向けのプログラミング・AIキャンプ(延べ6.2万人が参加)や、大学生・社会人・法人・自治体向けの研修を展開しており、デジタル教育の提供は累計200万人以上としています。

2025年6月にはシリーズEで総額25億円の資金調達を発表し、使途として学校向けクラウド教材事業と企業向けDX研修事業の拡大、AIを活用した教育サービス開発を挙げていました。

何が起きたか

ライフイズテックは2026年9月2日、大学生向け就活スマートアプリ『JRNY』のiOS版を無料でリリースしました。
対象は18歳以上の大学生・大学院生・短大生・高専生・専門学校生です。

アプリには5つの機能があります。

  • AI自己分析: 過去の経験を振り返り、AIとの対話やモチベーショングラフを通じて『キャリア軸』を言語化する
  • 企業探し: キャリア軸や条件をもとに、数千〜数万社の企業データベースからレコメンドする
  • 就活講座: 業界・職種研究から選考対策までのノウハウを学ぶ
  • メモ帳: 説明会や面接ごとの記録と振り返りを習慣にする
  • 選考管理: エントリーから面接までを一画面で整理する

あわせて、正式リリースに先行して上智大学キャリアセンターとの共同実証を開始しました。

背景として同社は、就職活動の早期化・長期化で自己分析・企業研究・選考管理が複数のサービスに分散し、学生が膨大な情報と複雑なプロセス管理に疲弊していることを挙げています。

さらに、従来の就活支援サービスの多くが「企業情報や求人」を起点に設計され、「企業に自分を合わせる」テクニックが先行しがちだと指摘しています。

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トラキャリの視点:教育事業者が持ち込んだ『起点』と『入り口』

起点を『企業』から『自分の基準』に置き直す

JRNYの5機能のうち、先頭に置かれているのはAI自己分析です。
企業探しはその後ろにあり、キャリア軸を前提にレコメンドする作りになっています。

このアプリが最初に解こうとしているのは、『どの企業を探すか』よりも手前にある『何を基準に探すか』です。

同社はこの転換を、就職活動を「量的消耗」から「質的探究」へ変えることだと表現しています。
公式noteでは同社の取締役副社長COOが、生成AIでエントリーシートが量産される状況を『就活の虚像化』と呼び、採用側でも多めに内定を出す『量的消耗戦』が常態化していると述べています。

JRNYは、自己分析・企業探し・選考管理といった機能を1つのアプリにまとめ、キャリア軸という1本の線でつなごうとしている点に特徴があります。

入り口は学生ではなく大学

もう一つ目を引くのが、学生に直接届けるのではなく、大学キャリアセンターとの共同実証から始めている点です。

プレスリリースでは、学生が主体的に進路を考えられるよう支援すると同時に、「大学側はより深い個別面談やサポートに注力できる環境を構築します」と掲げています。
学生側の課題だけでなく、キャリアセンター側の負荷も導入の動機に据えていることが読み取れます。

これは、ライフイズテックが中高の学校・自治体を通じて教材を届けてきた構造と重なります。
教育機関をパートナーとし、その先の生徒・学生に使ってもらう流通の型を、大学の就職支援にも当てはめた形と見ることができます。

公式noteでは、教育事業者としてラーニングエクスペリエンス(LX、学びの体験)の設計に取り組んできたことが、この領域に挑む背景として語られています。
就活を『選考を通過する技術』ではなく『学びの体験』として設計し直せるかどうかが、同社が持ち込もうとしている独自性と考えられます。

まだ見えていない部分

一方で、アプリは無料で提供されており、プレスリリースや公式noteに収益モデルの記載はありません。

企業データベースからのレコメンドがどのような仕組みで行われるのか、企業側がどう関わるのかも、現時点の公開情報では明らかになっていません。
新卒採用市場のなかでJRNYがどの位置に収まるのかは、今後の発表を待つ必要があります。

今後の動き

公式noteでは、JRNYを全国の大学へ広げ、履修・成績・課外活動・就活のデータをつなぐ大学全体の『キャリアOS』とでも呼ぶべきプラットフォームへ発展させたいという構想が語られています。
高校の進路指導での活用も視野に入れているとしています。

リリース後の9月14日には、法政大学キャリアデザイン学部の研究室との連携と、同学部の教授がJRNYのアドバイザーに就任したことを発表しました。
連携の第1弾として、10月8日に学生ピッチイベント『MY JRNY』を法政大学 市ヶ谷キャンパスで開催する予定です。

中高の教室から始まった同社の事業が、大学のキャリアセンターを経由して就職活動の入り口に届くかどうか。
大学側の導入がどこまで広がるかが、次に見るべきポイントになります。

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