AI面接が学生に選ばれる条件——『緊張しにくさ』だけでは足りない理由

AI面接が学生に選ばれる条件——『緊張しにくさ』だけでは足りない理由

目次

株式会社リーディングマークの組織心理研究所が、大学生・大学院生を対象に、対人面接と対話型AI面接の受け止め方を比べた研究結果を公表しました。
AI面接は対人面接より緊張しにくい一方で、AI面接を希望した学生は10.7%にとどまりました。
選ばれるかどうかを左右していたのは、緊張しにくさだけではなく、進め方の公平感と企業の魅力でした。

出典

この記事の要点

  • 学生の希望する面接形式は対人面接78.1%、AI面接10.7%。AI面接は不安が低い一方、納得感・公平感・企業の魅力は感じにくかった
  • AI面接が選ばれるかには、不安の低さに加えて『進め方の公平感』と『企業の魅力』が保たれているかが関わっていた
  • 応募者が最も安心できる運用は『AIでは合否が決まらず、人の面接につながる前段として使われる』で、論点は導入の是非より説明と運用の設計にあります

リーディングマークとは

株式会社リーディングマークは2008年1月設立、東京都港区に本社を置くHR企業です。
『Personality Tech』を掲げ、「ミキワメAI適性検査」などの組織・人材向けサービスや、学生向けの「ミキワメ就活」を展開しています。

今回の研究を担ったのは、社内の研究機関である組織心理研究所です。
心理臨床学・組織心理学の知見を実践支援に活かし、同社プロダクトの監修も担っています。

何が起きたか

リーディングマークが2026年9月3日、日本心理学会第90回大会での研究発表として、対話型AI面接に関する調査結果を公表しました。

調査はオンラインで行われ、大学生・大学院生431名が参加し、データ不備を除く392名を分析しています。
参加者には、次の2つの面接場面を想定してもらいました。

  • 対人面接: Web上で人事担当者とリアルタイムで会話する
  • AI面接: AIアバターとリアルタイムで会話し、発話内容をもとに評価される(表情解析はなし)

主な結果は次のとおりです。

  • AI面接は対人面接より、面接に対する不安が低かった
  • 一方で、評価への納得感・進め方の公平感・企業の魅力はAI面接のほうが低く、不気味さと不透明さはAI面接のほうが高かった
  • 希望する面接形式は、対人面接78.1%、AI面接10.7%、どちらでもよい11.2%

個人差も見えています。
就活への自己効力感が低い人ほど、AI面接で不安が相対的に和らぐ傾向がありました。
反対に、周囲からどう見られるかに気を配る傾向(セルフモニタリング)が高い人ほど、AI面接への納得感が低く、不気味さや不透明さを感じやすい傾向でした。

同社は9月11日に、日本社会心理学会第67回大会での発表として続報も公表しています。
就活サービス利用者248名に『安心できる機能・運用』を5点満点で尋ねたところ、上位は次の4つでした。

順位安心できる機能・運用平均
1AI面接では合否が決まらず、人の面接につながる前段として使われる4.40
2評価方法・評価項目が事前に明示される4.35
3AIの評価結果が選考でどのように使われるか明示される4.22
4AI面接の内容を踏まえた簡単なフィードバックが返る4.21

気になる点を尋ねた6項目でも、『評価される内容』と『評価基準・評価根拠』に関する項目の得点が高くなっていました。

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トラキャリの視点:AI面接は『応募者からも評価される場』として設計される

今回の結果で読み解きたいのは、AI面接の受け止めを分けているのが技術そのものより『どう評価され、その結果がどう使われるか』の見えやすさだという点です。

緊張しにくさは、応募者にとってたしかなメリットです。
それでも希望は1割程度にとどまり、選ばれるかどうかには公平感と企業の魅力が関わっていました。
評価の中身や基準が見えにくいことが、緊張しにくさというメリットを打ち消している可能性があります。

続報で上位に並んだ運用は、いずれも『説明』と『位置づけ』に関わるものでした。
AIだけで合否を決めないこと、評価の項目と使われ方を先に示すこと、終わったあとに簡単なフィードバックを返すこと。
どれも、AIの性能を上げなくても企業側の設計で用意できるものです。

研究所も、面接は企業が応募者を評価する場であると同時に、応募者が企業を評価する場でもあると指摘しています。
AI面接の導入は、選考の効率化と同時に、企業がどれだけ選考の中身を開示するかという姿勢も応募者に伝える——そう読める結果です。

もう一つ、個人差の結果も示唆的です。
自信が持てない学生ほどAI面接で緊張が和らぎやすい一方、周囲の目に敏感な学生ほど不透明さを感じやすい。
AI面接を一律に良い・悪いと評価するより、どの層にどう届くかを踏まえて説明の厚みを変える、という発想が求められていきそうです。

調査の読み方と、経験者調査との違い

この研究は、参加者に面接場面を想定してもらう『シナリオ調査』です。
実際にAI面接を受けた体験を測ったものではありません。
続報についても研究所は、挙がった機能・運用を実際に採り入れた場合の効果を直接検証したものではなく、応募者が何を安心材料と捉えるかを示す結果だと留保しています。

AI面接の受け止めについては、実際の経験者を対象にした別の調査もあります。
経験者では志望度が上がったという回答が多かった調査もあり、対象が『想定した学生』か『実際に受けた人』かで、見え方は変わり得ます。

経験者調査の読み方は、トラキャリの記事AI面接と候補者体験——採用の論点が『入れるか』から『どう伝えるか』へで解説しています。

どちらの調査も、論点が『AI面接を入れるかどうか』から『どう説明し、どう人の選考につなぐか』へ移っていることを示している点では共通しています。

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