
株式会社TalentXが、採用管理システム「MyTalent Hire」に、面接日程の『交渉』までAIが担う「AI日程調整機能」を実装すると発表しました。
リファラル採用のSaaSで知られてきた同社が、採用管理(ATS)の実務そのものをAIに任せる段階へ踏み込んだ一手です。
2026年に入ってからの同社の発表を並べると、この機能は単発の新機能ではなく、「AIと人の役割分担」を製品として設計していく流れの上にあると読めます。
出典
- 株式会社TalentX「AIが面接日程の『交渉』まで自動化、採用実務を自律的に担う『MyTalent AIエージェント』を始動」(2026年9月10日)https://talentx.co.jp/news/p260910
- 株式会社TalentX「AIネイティブ採用構想と統合型タレントアクイジションプラットフォーム『MyTalent Platform』を発表」(2026年3月17日)https://talentx.co.jp/news/p260317
- 株式会社TalentX「AIネイティブATS『MyTalent Hire』提供開始」(2026年3月25日)https://talentx.co.jp/news/p260325
- 株式会社TalentX「AIネイティブ採用の中核基盤『MyTalent AI Core』を提供開始」(2026年4月24日)https://talentx.co.jp/news/260423
- 株式会社TalentX「『MyTalent Hire』、候補者のマッチ度をランク付けする『スコアリング機能』を新搭載」(2026年5月8日)https://talentx.co.jp/news/p260508
この記事の要点
- 空き枠がないときの面接官との再調整まで、AIが一続きで処理する設計になった
- 3月のATS提供開始から、AI基盤・スコアリング・AIエージェントと、半年で採用管理の機能を積み上げている
- 同社は『AIはつながりを駆動し、人間はエンゲージメントを』と掲げ、定型業務をAIへ寄せる分担を製品で形にしている
株式会社TalentXとは
株式会社TalentXは、2018年5月設立の採用領域のSaaS企業です(証券コード330A)。
リファラル採用の「MyRefer」、採用マーケティングの「MyTalent」、採用ブランディングの「MyBrand」を提供してきました。
2026年3月には、これらを統合した「MyTalent Platform」を発表し、自社を『日本初の統合型タレントアクイジションプラットフォーム』と位置づけています。
同社の事業の成り立ちや収益構造は、トラキャリの企業研究記事どうやってTalentXは、ARR16.2億円・解約率0.6%の「採用DXプラットフォーム」になったのか?でも取り上げています。
何が起きたか
TalentXは2026年9月10日、採用実務をAIが自律的に担う「MyTalent AIエージェント」を始動し、その第一弾として「MyTalent Hire」に「AI日程調整機能」を実装すると発表しました。
機能は4つのステップで構成されています。
- 読み取る:候補者から届いたメールをAIが解析し、本文から希望日程を抽出する
- 調整する:面接官のカレンダーの空き状況と希望日程を照合する
- 交渉する:日程が合わない場合、AIが面接官や会議室の予定主催者へ変更を依頼し、再調整する
- 確定・連絡する:確定メール、面接官への通知、カレンダーへの予定登録までを自動で実行する
同社の説明では、従来の日程調整ツールは『候補者が専用URLで日時を選ぶ』段階までの自動化にとどまり、空き枠がなければ採用担当者の個別対応に戻っていました。
今回の機能は、その『空きがないときの交渉』までをAIが受け持つ点が新しいところです。
背景として同社は、自社調査(従業員500名以上の企業の人事担当者・責任者213名、中途採用候補者221名が対象)の結果を示しています。
- 採用担当者の58.3%がAIを活用している一方、AI導入後も工数が『変わらない』『増えた』という回答が53.3%
- AIと人の役割分担の基準を明確に定めている企業は21.1%
- 候補者が採用担当者に最も期待するのは『自分を深く理解した対話』(40.1%)
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トラキャリの視点:TalentXは「AIに任せる範囲」を製品で決めにいっている
今回の発表を単体で見ると、日程調整という一つの作業の効率化です。
ただ、2026年の同社の動きを時系列で並べると、見え方が変わります。
| 時期 | 発表内容 |
|---|---|
| 3月17日 | 『AIネイティブ採用』構想と「MyTalent Platform」を発表 |
| 3月25日 | AIネイティブATS「MyTalent Hire」の提供を開始 |
| 4月24日 | プラットフォーム全体のAI機能を管理する「MyTalent AI Core」を提供開始 |
| 5月8日 | 応募書類と求人要件の適合度を0〜100点で示すスコアリング機能を搭載 |
| 9月10日 | 「MyTalent AIエージェント」第一弾としてAI日程調整機能を発表 |
リファラル採用の会社として知られてきたTalentXが、約半年で採用管理の中核機能を順に積み上げてきたことが分かります。
構想の段階で「人がやること」を先に決めている
3月の構想発表で、同社は『AIはつながりを駆動し、人間はエンゲージメントを』と掲げました。
AIが担う領域として、人材データの解析、マッチング・レコメンド、採用の意思決定支援、オペレーションの自動化を挙げています。
一方で人事が担う領域には、スコアリングの妥当性の検証、候補者体験の最大化、意欲喚起・動機形成、採用戦略の立案を置いています。
今回の日程調整は、この区分の『オペレーションの自動化』をそのまま実装したものと読めます。
「どこまでAIに任せるか」を企業側が調整できる設計
4月の「MyTalent AI Core」では、AI機能のON/OFFを機能単位で設定できるほか、プロセスごとに『AIが全自動で行う領域』と『AIが補助し人間が最終判断する領域』を設計できるようにしています。
同社自身の調査で、役割分担の基準を明確に定めている企業が約2割にとどまっていたことと合わせると、TalentXはAIの性能そのものよりも、『どこまでをAIに任せるか』を企業が決めやすくする方向に製品を寄せていると考えられます。
AI日程調整機能は、その『全自動で任せる領域』の最初の具体例という位置づけです。
浮いた時間の行き先も、同社は言葉にしている
3月25日のMyTalent Hire提供開始時、同社は面接調整などの定型業務をAIが担い、人事が『候補者の意欲喚起やカルチャーフィットの見極め』に集中できる設計だと説明していました。
候補者の40.1%が『自分を深く理解した対話』を期待しているという調査結果も、この設計思想と同じ方向を向いています。
TalentXを見るときは、個々のAI機能の新しさよりも、『AIに渡す業務』と『人に残す業務』の線をどこに引いているかに注目すると、同社の製品戦略が読み取りやすくなります。
今後の展開:AIエージェントの業務範囲は順次拡大予定
同社は、「MyTalent AIエージェント」が担う実務の範囲を今後順次広げていくとしています。
今回の日程調整は、複数の作業をつないで実務そのものを完結させるAIエージェントの第一弾です。
どの業務が次の対象になるのか、また人事が最終判断する領域とどう組み合わせていくのかが、今後の発表で注目される点です。
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