どうやってTalentXは、ARR16.2億円・解約率0.6%の「採用DXプラットフォーム」になったのか?

どうやってTalentXは、ARR16.2億円・解約率0.6%の「採用DXプラットフォーム」になったのか?

2025年12月16日企業研究
目次

2025年、日本の採用市場は、労働人口の減少という構造的な課題と、従来の外部依存型採用によるコスト高に直面しています。

今、この市場課題に対し、AI・テクノロジーで市場をゲームチェンジするHRTechカンパニーとして挑むのが株式会社TalentXです。

直近の2026年3月期第2四半期決算でARRが16億円を突破し、累計営業利益率は20%に上昇しています。同社は今「採用版セールスフォース」として企業に自前の採用力を構築させるという重要なフェーズを迎えています。

事業に資するHR人材を志向する方に向けて、成長産業、成長企業の実態に迫ります。

 営業利益率20%まで到達しつつ、M&Aで「採用DXプラットフォーム」を厚くする局面へ

2025年9月時点でTalentXは、ARR16.2億円・課金利用社数376社・ARPA(月額)33万円、月次解約率0.6%というSaaSとしての安定指標を積み上げています。

さらに累計の営業利益率は20%まで上がっており、「投資しながら利益も出す」状態に入ってきました。

そのうえで同社は、足元の人材投資に加えて、M&A2件・事業提携1件を実行し、Myシリーズのプラットフォーム強化を進めています。

短期の売上だけでなく、中期の成長基盤を“買って厚くする”意思決定が見えるのが、直近の変化です。

(出典:TalentX 決算説明資料)

 29四半期連続の増収達成。エンタープライズ顧客に支持される強固な収益基盤

TalentXは2015年、従業員をエージェント化する「リファラル採用」を提唱し、国内初のリファラル採用サービス「MyRefer」をリリースしました。

その後、採用領域全体を支援する採用DXプラットフォーム「Myシリーズ」へと事業を拡張しています。

これまでの主要実績として、「Myシリーズ」は日本の時価総額TOP50企業の40%以上の採用マーケティングを支援し、トヨタ、日立、MUFGなど、日本を代表する大手・成長企業への導入実績を有します。

この事実は、同社が単なるスタートアップ向けSaaSではなく、日本の雇用インフラを担うエンタープライズ企業の変革パートナーとしての地位を確立していることを示しています。

数値面での実績も堅調です。

売上高

法人設立以来、29四半期連続で増収を達成。2026年3月期第2四半期の売上高は422百万円と、四半期売上高の過去最高を更新しました。

売上総利益率

2026年3月期第2四半期累計で88%と高水準を維持。AI開発投資を加速させる中でも、サブスクリプションモデルの優位性を活かした持続的な成長を実現しています。

営業利益(通期予想)

2026年3月期通期の営業利益予想は3億0,661万円。2025年3月期実績(2億9,386万円)に対し、前期比104%の増益を見込んでいます。

サブスクリプション売上高比率

売上高の90%以上がサブスクリプション収益で構成されており、収益の安定性が高い点も特徴です。
これらの実績は、TalentXが「採用×SaaS」という独自ポジショニングを確立し、売上のボラティリティが大きい人材採用市場においても、再現性のあるグロースモデルを構築していることを示しています。

(出典:TalentX 決算説明資料)

狙うはTAM約1.5兆円の市場転換。「フロー型」から「ストック型」への移行

TalentXが挑むマーケットは、既存の「人材紹介・求人広告市場」の代替市場であり、その規模はTAMで約1.5兆円に及びます。

成長ドライバー

日本の採用市場の構造的な課題こそが、TalentXの成長を強く後押しするドライバーです。

労働人口の減少と採用ニーズの増加

日本の労働人口は減少し続けていますが、企業の人材採用ニーズは増加の一途をたどっており、転職求人倍率は高止まりしています。

転職潜在層の増加

転職等希望者数は過去最高の1,000万人を突破しており、既存の採用サービスではリーチしきれない潜在層へのアプローチが重要になっています。

採用のマーケティング化

採用コストの削減や優秀な人材獲得のため、リファラル採用やタレントプール採用など、転職潜在層にアプローチする施策の導入率が加速しています。

競合は既存の採用慣習

競合は他のHR Techベンダーだけでなく、「従来の採用慣習そのもの」や「人材紹介会社への過度な依存」という構造であると捉えられます。

比較軸従来の人材紹介/求人広告TalentXのMyシリーズ
アプローチ対象転職活動者(顕在層)転職希望者(潜在層)
採用コスト高い(決定者の年収の35%など)低い(SaaS利用料金)
特徴競合とバッティングが多い、一過性競合バッティングが少ない、持続可能性が高い
収益モデルフロー収益(仕入れコストあり)ストック収益(仕入れコスト不要)

TalentXが提唱する「採用マーケティング」は、企業が外部に依存せず、自社で人材を惹きつけ、採用できる仕組みをAIとテクノロジーで実現する、新しい採用のあり方です。

(出典:TalentX 決算説明資料)

採用コストを数分の一に圧縮。「タレント獲得」を自動化するMyシリーズ

TalentXの事業の中核は、企業が自ら人材を惹きつけ、採用できる仕組みを実現する採用DXプラットフォーム「Myシリーズ」です。

採用活動を外部に依存せず自前で回せる“タレント獲得プラットフォーム”として、従来よりも低コストかつ効率的な採用を可能にします。

Myシリーズは、ソーシングからスクリーニング、インタビュー、オンボーディングまで、採用プロセス全体をAIとテクノロジーで効率化・自動化するソリューション群で構成されています。

MyRefer

社員をエージェント化し、潜在優秀層へアプローチ。採用とエンゲージメント向上を支援する、国内初のリファラル採用サービスで、利用従業員数は100万名を突破しています。

(出典:TalentX My Referサービスサイト)

MyTalent

過去の応募者やタレントデータを資産化し、潜在求職者へのアプローチを自動化する国内初のAI採用MAサービスで、累計ナーチャリング数250万件、候補者返信数3.5万件といった実績を積み上げています。

(出典:TalentX My Talentサービスサイト)

MyBrand

ノーコードで自社採用メディアを構築し、企業の魅力を発信する採用ブランディングサービスで、MyTalentと連携し、サイト訪問者をタレントプールへ誘導します。

(出典:TalentX My Brandサービスサイト)

中でもMyTalentは、応募データを資産として蓄積し、自社の求職者データベースから採用するという新しい採用モデルを実装しています。

AIによる求人マッチングと、過去に接点を持った候補者一人ひとりへのオートメーション配信により、継続的なタレント獲得を可能にします。

これらの仕組みにより、Myシリーズ利用企業における自社採用の採用コストは約30万円と、人材紹介(約180万円)と比べて4分の1以下に圧縮されています。

収益モデルは、サブスクリプション収益を軸としたハイブリッド型です。

月額のSaaS利用料とサポートコンサルによるストック収益に、初期導入費用や採用マーケティングコンサルティング、成果報酬型のX-Agency収益が加わります。

求職者の仕入れコストが不要な点が、従来の人材紹介モデルとの決定的な違いであり、収益の安定性と高い成長性を両立できる構造となっています。

(出典:TalentX 決算説明資料)

1,000社超のエンタープライズデータがアセット。日本版HR CRMを目指す将来構想

TalentXの競合優位性は、明確なポジショニングと、そこから蓄積されたエンタープライズデータというアセットにあります。

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本記事はAIによるリサーチ/作成を活用しつつ、当編集部にて事実確認・加筆修正を行ったものです。ただし内容の正確性を担保するものではなく、一部に不足や誤りが含まれる可能性があります。そのため、ご指摘を頂き次第、内容は随時アップデートしてまいります。

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