ROXXが『自社にない求人』まで案内する理由

ROXXが『自社にない求人』まで案内する理由

目次

株式会社ROXXが、提携する求人メディアの掲載求人から求職者に合う求人を探して案内する『ROXX キャリアサポート』の本格提供を始めた。

人材紹介の支援は、相談先が持つ求人の範囲で終わりやすい。その枠を外す動きだ。

同じ9月に発表された求人シェアリングや掲載求人数の拡大と並べると、ROXXが『1社の保有求人で支援を終わらせない』仕組みを重ねて作っていることが見えてくる。

出典

この記事の要点

  • 新サービスは、相談先の保有求人と希望が合わず支援が終わるケースをなくすため、他社メディアの掲載求人まで案内の対象を広げた
  • 9月には紹介会社同士で求人を持ち寄る『求人シェアリング』も始めており、求人の幅を外から足す動きが続いている
  • 自社の紹介と、紹介会社向けプラットフォームの両輪という事業構造が、この打ち手の土台になっている

ROXXとは

株式会社ROXXは2013年設立、2024年9月に東証グロース市場へ上場したHRテック企業(証券コード241A)。

主力は、未経験から正社員を目指すノンデスク領域に特化した転職プラットフォーム『Zキャリア』。非正規や非大卒を中心とした求職者を、自社のキャリアアドバイザーが採用企業へ紹介している。

もう一つの柱が『Zキャリア プラットフォーム』で、提携する人材紹介会社(パートナー紹介会社)が求人データベースやAIツールを使って求職者を紹介できる仕組みだ。

同社は自らを、未経験の求職者と採用企業のマッチングに加え、パートナーである人材紹介会社の支援を『両輪で展開』する会社と説明している。

何が起きたか

株式会社ROXXは2026年9月14日、『ROXX キャリアサポート』の本格提供を発表した。

提携する求人メディアの掲載求人の中から、求職者一人ひとりの希望や適性に合った求人を検索して案内するサービスだ。

業界・職種・雇用形態・経験・年齢等による対象の制限はなく、すべての求職者が無料で利用できる。

提供開始は2025年4月で、累計利用者は6,889名(2025年4月〜2026年8月末時点)。提携求人メディアの拡大に合わせて、今回『本格提供』に切り替えた。

背景として同社は、国内の求人広告掲載件数が約261万件(2026年7月時点)にのぼり、求職者が最適な求人を見つけにくくなっていると説明する。

そのうえで、提示される求人が相談先の保有求人に限られるため、希望条件と合わないと十分な選択肢が示されないまま支援が終わってしまうケースがある、と課題を挙げている。

掲げた目標は『支援できない求職者を0にし、すべての求職者に挑戦する機会を創出する』こと。同社がこれまでに支援してきた求職者は累計約64.1万人(2026年8月末時点)にのぼる。

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トラキャリの視点:『保有求人の外』を3方向から広げている

今回のサービスは単発の新施策というより、ROXXがこの数カ月で重ねてきた動きの延長線上にあると読めます。

9月だけで、求人の幅を広げる発表が3つ続きました。

発表日取り組み広げたもの
9月3日Branding Careerとの『求人シェアリング』開始紹介会社同士で持ち寄る求人(IT・エンジニア約3万件)
9月14日『ROXX キャリアサポート』本格提供提携求人メディアの掲載求人
9月24日Zキャリア プラットフォームの掲載求人数が4万件超に自社データベースの求人そのもの

求人シェアリングについて、同社は『1社単独の保有求人にとどまらず、パートナー紹介会社同士で求人を持ち寄ることで、求職者一人ひとりの志向に応じた幅広い転職支援を可能にします』と書いています。

今回のキャリアサポートの課題設定(相談先の保有求人に限られて支援が終わる)と、ほぼ同じ言葉です。

紹介会社どうしの求人、他社メディアの求人、自社データベースの求人。入口は違っても、狙いは『目の前の求職者に出せる選択肢を増やす』ことで一貫しています。

両輪の事業構造が、この打ち手を自然なものにしている

ROXXの決算説明資料を見ると、この方向性が事業構造と噛み合っていることが分かります。

同社の売上は大きく3つに分かれています。

  • パフォーマンス収入(当社経由): 自社キャリアアドバイザーの人材紹介による採用成果報酬
  • パフォーマンス収入(社外経由): パートナー紹介会社の人材紹介による手数料売上
  • リカーリング収入: パートナー紹介会社のプラットフォーム利用料、AI面接官等のAIプロダクトの売上

2026年9月期第3四半期(3カ月)の売上高は13億4,400万円で、前年同期比17.6%増と過去最高を更新しました。グラフ上の内訳は、当社経由が約7.3億円、社外経由が約3.8億円、リカーリングが約2.4億円です。

自社で紹介するだけの会社なら、求人の幅は『自社が開拓した求人』で決まります。

ROXXは売上の一定割合を、他社(パートナー紹介会社)の紹介活動から得ています。求人を持ち寄る・外から足すという発想は、もともと事業の中に組み込まれていると考えられます。

『最初の窓口』としてのZキャリア

ROXXは、日本の給与所得者の半数以上が年収400万円未満、非大卒が67%、非正規率が37%という統計を挙げ、国内の人材紹介の多くが即戦力層向けになっている業界構造に着目したと説明しています。

この層に対して『どんな希望でも、まず案内できる求人がある』状態をつくることは、転職を考え始めた人が最初に相談する先になることにつながります。

64.1万人の登録基盤を持つZキャリアが、保有求人の制約を外していく動きは、その『最初の窓口』の位置を固めにいく一手とも読めます。

なお、キャリアサポートの収益の仕組み(提携メディアとの契約形態など)はリリースに記載がなく、現時点では分かりません。

関連動向:AIで紹介会社の生産性を上げる取り組みも並行

ROXXは求人の幅を広げる一方で、紹介業務そのものの効率化にも力を入れています。

9月24日の開示では、パートナー紹介会社の業務効率化を支援するAIツールを2026年5月に提供開始したことに触れ、蓄積された選考データを基にしたスクリーニングやマッチングの高度化を進めるとしています。

第3四半期の決算説明資料でも、社外経由のパフォーマンス収入はAI関連ツールの外販が寄与して成長したと説明されています。

自社で成果が出たAIを外に提供する同社の考え方は、ROXXが『自社で成果が出たAIだけ』を外に売る理由でも取り上げています。

求人の選択肢を広げる取り組みと、紹介の生産性を上げる取り組み。この2つがZキャリアの成長をどう支えていくかは、第4四半期以降の決算で確認していきたいポイントです。

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