ムービン・ストラテジック・キャリアが伸び続ける理由 件数・単価・生産性を分解する

ムービン・ストラテジック・キャリアが伸び続ける理由 件数・単価・生産性を分解する

2026年10月7日ニュースを読む
目次

株式会社ムービン・ストラテジック・キャリアが、2026年12月期の中間期で売上31.7億円(前年同期比+76.1%)を計上し、通期予想を再び上方修正した。

コンサルティングファーム特化の人材紹介会社で、2025年10月の上場から1年を待たずに通期計画が2度引き上げられた。

伸びを「入社人数×成約単価」と「キャリアアドバイザー数×生産性」に分けると、追い風を受け止めている仕組みが見えてくる。

出典

この記事の要点

  • 入社人数(+33%)と成約単価(前期下期比+17.8%)が同時に伸び、売上は前年同期比+76.1%
  • CAの増員と1人あたり生産性の向上(FY25比+27.2%)が、需要の追い風を受け止めている
  • 自社集客のデータベースと、毎年入れ替わる顧客ポートフォリオが成長の土台になっている

ムービン・ストラテジック・キャリアとは

株式会社ムービン・ストラテジック・キャリアは、コンサルティングファームを中心に、戦略・IT・M&A・PEファンドなどプロフェッショナルファームへの転職支援を手がける人材紹介会社です。

1996年に創業し、2000年12月に設立。2025年10月に東証グロース市場へ上場しました(証券コード421A)。連結従業員数は150人(2026年6月末時点)です。

決算説明資料によると、自社サイトやYouTubeなど自社のチャネルで求職者を集め、紹介まで一気通貫で行うモデルをとっています。

会社は、長年の運営実績によるブランド力やSEO対策により『広告宣伝費ゼロ』で20〜30代の若手プロフェッショナル人材を集客していると説明しています。

何が起きたか

ムービン・ストラテジック・キャリアが2026年8月12日に発表した決算説明資料によると、2026年12月期上期の売上高は3,168百万円(前年同期比+76.1%)、営業利益は1,576百万円(同+62.9%)だった。

いずれも5月に上方修正した計画(売上3,100百万円・営業利益1,567百万円)を上回っている。

四半期で見ると、第2四半期の売上は1,829百万円(前年同期比+95.9%)で、2四半期連続で過去最高を更新した。

営業利益の伸びが売上より小さいのは、今期から賞与引当金の計上方法を変えたためだ。上期までに▲243百万円の影響があり、従来の基準なら営業利益は1,819百万円(前年同期比+88.1%)になると会社は示している。通期の賞与引当金の合計額は変わらないという。

あわせて、通期予想を売上高6,400百万円(前期比+68.4%)、営業利益3,030百万円へ引き上げた。

通期売上の計画は、当初50億円→5月の修正で58億円→今回64億円と、半年で2度引き上げられている。

修正の理由として会社は、AIコンサルティング需要の拡大の継続と、中期経営計画で進めるキャリアアドバイザー(CA)の採用強化などの施策効果を挙げている。

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トラキャリの視点:伸びを支える『人数×単価』と『人×生産性』

件数と単価が同時に伸びている

人材紹介の売上は、おおむね『入社人数×1件あたりの成約単価』で決まります。

今回の上期は、その両方が伸びています。

  • 転職支援人数(入社人数):前年同期比+33%(過去最高を更新)
  • 成約単価:FY25下期比+17.8%

会社は、AIコンサル需要に伴う人材ニーズの拡大から『大手ファーム/中堅ファーム共に採用を活性化』しており、採用マーケットの需給はタイトだと説明しています。

単価は決まった人の年収ミックスで振れる指標なので、需給が締まっている局面で、より高い年収帯の転職が増えているとも考えられます。

需要を受け止める『人』の側も伸びている

もう一つの分解が『CA数×1人あたり生産性』です。

CA数は2025年度末の106人から、2026年6月末には126人へ増えました。第2四半期だけで14人の純増で、増加ペースは前の四半期より速まっています。

それでいて、1人あたり生産性(月あたり売上)はFY25通期比+27.2%と上がっています。

人を増やすと新人比率が上がり、平均の生産性は下がりやすいものです。

会社は、営業マネジメントのDX化と生成AIの活用で『新人キャリアアドバイザーもベテランと同等のサービス提供が可能になり、応募率向上』したと説明しています。登録者の応募率は2023年6月比で+18%、選考中の人数は2024年8月比で+66%と示されています。

需要の追い風だけでなく、増やした人員が早く戦力になる仕組みがあることが、件数の伸びにつながっていると考えられます。

実は『顧客の顔ぶれ』は毎年大きく変わっている

決算説明資料には、直近3年間の売上上位10社の一覧(社名は伏せた表記)が載っています。

2023年12月期は上位4社をすべて大手外資系ファームが占めていましたが、2025年12月期の1位は中堅日系ファームでした。前年の上位10社のうち4社が入れ替わっているとも記されています。

会社は、人材紹介は成功報酬のため新規契約のハードルは低い一方、顧客の採用ニーズは短期間で目まぐるしく変わるとし、『今積極採用中の顧客に都度シフトして深耕営業すること』を重視していると説明しています。

コンサル特化と聞くと、決まった大手ファームとの関係で成り立つ事業を思い浮かべるかもしれません。

実際には、どのファームが今採用を強めているかに合わせて、取引の重心を毎年動かしている会社だと読めます。

深掘り:自社データベースと中期経営計画

11.8万人の自社データベースを繰り返し使う

ムービンの自社データベースの累計登録者数は約11.8万人(2026年6月末時点)です。

2023年1月には、登録者に求人やセミナー情報を届けるデータベースマーケティングチーム(コンシェルジュデスク)を立ち上げ、同じ人の転職を繰り返し支援する体制をつくったとしています。

会社は資料の中で、多くの人材紹介会社が転職プラットフォーム(スカウトサイト)を使って集客し、その利用料を払っていることと対比しています。

会社はこれを『バリューチェーン上の収益機会を外部流出させず、全て自社完結させる高収益ビジネスモデル』と位置づけています。上期の営業利益率は49.7%でした。

2028年に売上100億円を目指す

2026年3月24日に公表した中期経営計画では、2028年12月期に売上高100億円(FY25からFY28のCAGR約38%)を目標に置いています。

会社は、この目標を『オーガニック成長のみ』で達成する前提とし、M&Aによる成長は上積みと位置づけています。

一方で、成功報酬型のため入社日まで売上が確定せず、四半期単位では基調トレンドから売上が上下に変動すると会社自身が注記しています。

下期の着地に加えて、コンサル各社の採用姿勢がどう動くかが、この成長の続き方を見るうえでの手がかりになりそうです。

特化型エージェントそのものの見分け方は、転職先の特化型エージェントの選び方でも整理しています。

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