ハッカズークが退職者DBで人材紹介を始めた意味|手数料15%と30%の設計を読む

ハッカズークが退職者DBで人材紹介を始めた意味|手数料15%と30%の設計を読む

2026年10月9日ニュースを読む
目次

株式会社ハッカズークが2026年9月16日、退職者データベースを活用した完全成功報酬型の人材紹介「オフィシャル・アルムナイ・キャリア」の提供を始めた。

企業のアルムナイ(退職者)ネットワークづくりを支援してきた会社が、そこに集まる人材を採用の母集団として他社にもつなぐ一手になる。

手数料の設計と、ハッカズークが掲げる事業構想の2点から、この新サービスを読み解く。

出典

この記事の要点

  • ネットワーク運営で集まった約4万人の退職者データベースを、人材紹介の母集団として使い始めた
  • 手数料は自社の元社員なら15%、他社の元社員なら30%。名簿を預ける企業ほど得をする設計になっている
  • 業務委託(Borrow)に続く人材紹介(Buy)で、同社が掲げる『BBBのプラットフォーム』構想の具体化が一段進んだ

ハッカズークとは

株式会社ハッカズークは2017年7月設立、東京都文京区に本社を置く未上場企業。

企業と退職者の関係づくりを支援する『アルムナイ』領域を主力とし、退職者ネットワークのクラウドと運用代行「オフィシャル・アルムナイ」、アルムナイ特化型メディア「アルムナビ」、調査機関「アルムナイ研究所」などを手がける。

2024年10月に採用業務代行(RPO)の株式会社レインと経営統合し、2026年1月にレインを吸収合併した。現在はアルムナイ事業と採用支援事業(RPO・HRコンサルティング・LinkedIn導入支援)の2本柱で、従業員数は90名(2025年6月時点)。

アルムナイ事業のミッションは『別れを資産に』。グループとしては、Buy(採用)・Build(育成)・Borrow(内部・外部人材の活用)を支える『BBBのプラットフォームになる』というビジョンを掲げている。

何が起きたか

ハッカズークが2026年9月16日に提供を始めた「オフィシャル・アルムナイ・キャリア」は、初期費用・月額費用0円の完全成功報酬型の人材紹介だ。

成果報酬は次のとおり。

採用した人成果報酬
自社の退職者理論年収の15%
他社の退職者理論年収の30%

紹介の母集団は、大手企業出身者を中心とする約4万人の独自退職者データベースの一部。リリースが挙げる構成は次の4つだ。

  • 有志によるアルムナイネットワークの登録者
  • アルムナイ交流イベントの参加者
  • 本サービスを導入した企業の退職者
  • 「オフィシャル・アルムナイ」を利用する大手企業の退職者(企業と本人から許諾を得た人)

導入企業に新たに求める作業は『退職者名簿の共有』のみとされる。

自社アルムナイネットワークの構築・運営、候補者選定、スカウト送信、カジュアル面談の打診、選考中のフォローは専任担当が担う。

背景として同社は、人材紹介手数料の高騰とダイレクトスカウトの返信率低下を挙げ、採用コストの高騰や母集団の枯渇に悩む企業が増えていると説明している。

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トラキャリの視点:名簿を預けるほど得をする設計

このサービスの特徴は、手数料に差をつけた点にあります。

自社の元社員を採れば15%、他社の元社員なら30%。導入企業にとっては、名簿を預けて自社のアルムナイを掘り起こしてもらうほど、低い料率で採用できる余地が広がります。

一方、預けられた名簿は「導入企業の退職者」としてデータベースの構成要素にも数えられています。

導入企業が増えるほど、他社に紹介できる候補者の層も厚くなる。参加企業が増えるほど母集団が育つ、循環を意識した設計と読めます。

導入企業側の作業を名簿共有だけにとどめ、ネットワーク運営からスカウト・面談設定までを引き受ける形も、この循環を回すための入り口を低くする工夫と考えられます。

ハッカズーク自身の調査では、採用担当者の45.5%が『アルムナイとの接点は持っていない』と回答しています(2025年、12業界・n=1,233)。

自社だけでは退職者との接点を持てていない企業にとって、名簿を渡せば運営ごと任せられる仕組みは、アルムナイ採用を始める現実的な選択肢になりえます。

もう一つの読み方は、事業の広がり方です。

同社はアルムナイネットワークのクラウドで顧客企業との関係を築き、RPOのレインを統合して採用支援の実務を取り込みました。2026年5月には、大手企業の退職者に業務委託・副業で仕事を依頼できる「オフィシャル・アルムナイ・パートナーズ」を始めています。

今回の人材紹介はそこに続く一手で、ビジョンの『BBB』に当てはめると、Borrow(業務委託)に続いてBuy(採用)の商品がそろったことになります。

退職者との関係づくりから始まった会社が、その関係を採用・活用の取引にまでつなげる段階に入ったと読めます。

伸びしろを左右する「許諾」

データベースのうち「オフィシャル・アルムナイ」を利用する大手企業の退職者は、企業と本人の許諾を得た人に限るとされています。

大手企業にとって、自社の元社員が他社へ紹介される仕組みに名簿を開くかどうかは、自社のアルムナイ施策との兼ね合いで判断が分かれるところです。

同社は5月の業務委託サービスで、複数の大手企業の参画を得て、大手企業のアルムナイを他社の業務につなぐ枠組みをすでに始めています。

送り出す側の企業がどこまでこの考え方に応じるかが、人材紹介としての母集団の厚みを左右しそうです。

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