50代の転職者が7年で5.79倍に。エン『ミドルの転職』データで読む、ミドル転職の広がりと分かれ方

50代の転職者が7年で5.79倍に。エン『ミドルの転職』データで読む、ミドル転職の広がりと分かれ方

2026年10月5日ニュースを読む
目次

エン株式会社が、ミドル世代向け転職サイト『ミドルの転職』の転職者分析レポート2026を公表しました。

同サイト経由で転職した35〜59歳の転職者数は2018年比で約2.5倍、50代に限ると5.79倍に増えています。

年代別の推移と年収変動を並べると、ミドル転職の広がりと、その中で評価が分かれていく構造が見えてきます。

出典

この記事の要点

  • 50代の転職者数は2022年以降に伸びが加速し、30代後半・40代との差が大きく開いた
  • 年収が上がった人の割合は40代で53%まで伸びた一方、50代は減少が47%と増加の42%を上回る
  • 企業が見る軸は年齢や肩書きから『経験を別の環境で再現できるか』へ移っていると、エン自身が説明している

エン株式会社とは

エン株式会社は2000年1月設立、東京証券取引所プライム市場に上場する人材サービス企業です。
2025年10月にエン・ジャパン株式会社から商号を変更しました。

求人/求職メディア、人材紹介サービス、入社後の活躍・定着支援サービスを展開しており、2026年3月期の連結売上高は590億9,300万円です。

『ミドルの転職』は同社が運営する30代・40代を中心としたミドル世代専門の転職サイトで、経営幹部・CxO・部長クラスなど年収1,000万円を超える求人も扱っています。
サイトは人材紹介会社の転職コンサルタントにも利用されており、同社はそのコンサルタントを対象にしたアンケート調査も公表しています。

何が起きたか

エン株式会社は2026年9月7日、『ミドルの転職』を通じて転職した35〜59歳の転職者数と、転職前後の年収変動をまとめたレポートを公表しました。
調査期間は2018年1月1日〜2025年12月31日です。

2018年を1.00とした転職者数の推移は次のとおりです。

年全体30代(35〜39歳)40代50代
20181.001.001.001.00
20211.311.331.191.74
20221.721.561.462.91
20232.081.551.754.00
20242.451.721.945.33
20252.501.671.905.79

転職で年収が10万円以上増えた人の割合は、2025年で全体48%、40代53%、50代42%でした(10万円未満の増減は『変動なし』として集計)。

あくまで『ミドルの転職』経由の転職者を対象にした数字で、転職市場全体の人数を示すものではない点には注意が必要です。

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トラキャリの視点:ミドル転職は『広がり』と『分かれ』が同時に進んでいる

50代だけが別の曲線を描いている

表を見ると、2021年までは各年代とも1.0〜1.7倍程度の範囲に収まっていました。
差が開いたのは2022年以降で、50代は2.91倍、4.00倍、5.33倍と毎年大きく伸び、30代後半(1.67倍)や40代(1.90倍)と明確に違う動きをしています。

エンは概況解説で、ミドル世代の転職は「一部の限られた人だけのものではなくなりつつあります」と述べています。
同サイトの中で見る限り、その変化をいちばん強く映しているのは50代です。

年収の動きは年代で分かれる

年収変動を年代ごとに見ると、景色は一様ではありません。

40代は年収が増えた人の割合が2018年の37%から2025年の53%まで上がり、減った人(36%)を大きく上回りました。

50代も増加は33%から42%に上がっていますが、2025年時点でも減った人が47%と、増えた人を上回っています。
転職者数が最も伸びている年代で、年収が下がる人のほうが多いという組み合わせです。

エンはこの点について、「ミドル世代であれば誰にでも同じように機会が広がっているわけではありません」「経験が豊富であることと、その経験が現在の市場で価値を持つことは別です」と書いています。
50代の転職の門戸が広がることと、その中で条件が上がるかどうかは、別の問いとして見る必要がありそうです。

評価の軸が『年齢』から『再現性』へ

エンは変化の背景を、若手人材の不足だけでなく「企業側の人材に対する見方の変化」にあると説明しています。

具体的には、年齢や過去の肩書きだけではなく、「何を経験してきたのか」「その経験を別の環境でも再現できるのか」「周囲を巻き込みながら事業や組織を前に進められるのか」を見る企業が増えているとしています。

人材紹介やスカウトでミドル層に向き合う側から見ると、この変化は候補者の経歴の伝え方そのものに関わります。
在籍企業と役職で経歴を要約するより、どんな課題をどう動かしたかを軸に組み直すほうが、企業の見ている観点に沿うと読めます。

関連:コンサルタントが見た『評価されるミドル』

エンは2026年3月にも、『ミドルの転職』を利用する転職コンサルタント156名へのアンケート結果を公表しています。

評価されるミドル人材の特徴のトップは「実績の再現性と応用力がある」(68%)で、「高い当事者意識と主体性がある」(53%)、「専門スキルと汎用スキルを併せ持っている」(43%)が続きました。
一方、評価されづらい特徴のトップは「価値観に固執し、柔軟性が欠如している」(67%)でした。

企業がミドル採用で重視する点は「業務経験」(86%)、「専門知識・スキル」(81%)が上位で、回答者からは「実務に沿った経験があれば年齢の要件も緩和するケースもある」という声も寄せられています。

9月のレポートの『再現性』というキーワードは、半年前のコンサルタント調査とも重なっています。
50代の転職者数の伸びと年収の分かれ方は、ミドル採用で企業が何を見ているかを映す数字として読むことができます。

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