
株式会社Atipが、転職エージェントを『担当者単位』で検索・比較・指名できるプラットフォーム「AGENT PICK」を大幅リニューアルした。
背景には、スカウトサイトの利用料上昇などによる、人材紹介会社の求職者獲得コストの増加がある。
人材紹介の集客を『会社として集める』だけでなく『担当者として選ばれる』形でも捉え直す動きとして読める。
出典
この記事の要点
- 求職者が社名ではなく、担当者の得意領域・実績で紹介会社を選ぶ導線が整いつつある
- 紹介会社側は面談まで無料・入社時の成果報酬のみで、集客の固定費を抑えて参加できる
- 担当者単位で比較される場では、特定領域の専門性がそのまま集客の材料になる
株式会社Atipとは
株式会社Atip(エティップ)は、2019年10月設立、東京都港区に本社を置くHR企業だ。
人材紹介事業、採用支援事業、HR領域のWebサービスの企画・運営を手がける。
個人向けには「フミダス転職」「フミダス求人」「AGENT PICK」などを、法人向けには人材紹介、採用代行(RPO)、求人ボックス運用代理店、採用コンサルティング、フランチャイズ事業(フミダス転職FC)などを展開している。
自社で人材紹介を行いながら、求人媒体の運用支援も手がけている点が特徴だ。
何が起きたか
株式会社Atipは2026年9月30日、転職エージェントを担当者単位で検索・比較・指名できる「AGENT PICK」を大幅リニューアルしたと発表した。
求職者は、担当者ごとの専門分野・得意業界・実績・人柄を見比べ、相談したい担当者を自分で指名できる。
今回のリニューアルでは、次の点が強化された。
- エージェントがプロフィールで得意領域や支援スタイルを発信し、求職者から直接相談を受けられる仕組み
- 面談予約・チャット・紹介求人の共有を、同じサービス内で完結できる機能
- 初回アクションを「面談カレンダー予約」「LINE共有」「自由テキストでの返信」「選択肢と自動返信」から選べる設計と、Googleカレンダー連携
料金面では、エージェント登録・初期費用・月額利用料・プロフィール掲載・指名相談・面談予約・面談実施まですべて無料。
費用が発生するのは、AGENT PICK経由で支援した求職者が入社した場合の成果報酬のみとしている。
同社はリリースで、背景としてスカウトサイトの利用料や送信単価の上昇、求人広告市場の競争激化、求人検索サービスの審査基準の厳格化を挙げ、求職者獲得のコストと工数が増えていると説明している。
あわせて、登録後に連絡が取れない、面談につながらないといった歩留まりの課題にも触れている。
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トラキャリの視点:集客の単位が『担当者』に降りてくる
人材紹介会社の集客は、スカウト媒体や求人広告、検索広告に費用をかけ、会社として求職者を集める形が一般的です。
この形では、求職者がまず接するのは社名やサービス名で、どの担当者に当たるかは登録後に決まります。
AGENT PICKのような場では、この順番が入れ替わります。
求職者は登録の時点で担当者のプロフィールを見比べ、『この業界・職種に強い人』を選んで相談します。
比較の軸が会社の知名度や広告露出から、担当者個人の得意領域や実績に寄っていくと考えられます。
料金設計が示すもの
掲載から面談まで無料、入社時の成果報酬のみという設計は、紹介会社にとって集客の固定費がかからないことを意味します。
スカウト送信や広告は、成果が出るかどうかにかかわらず費用が先に出ていきます。
リリースが背景に挙げた獲得コストの上昇を踏まえると、成果が出たときだけ払う集客経路は、紹介会社にとって検討しやすい選択肢の一つになり得ます。
専門性が『集客の材料』になる
担当者単位で比較される場では、プロフィールに書ける中身がそのまま求職者を呼び込む材料になります。
特定の業界や職種で実績を積んだキャリアアドバイザーほど、広告費をかけずに相談を集めやすくなる構造とも読めます。
逆に言えば、領域を絞らず幅広く支援するスタイルは、プロフィール上で強みを伝えにくい面もあるかもしれません。
集客コストが上がるなか、各社が担当者ごとの専門領域をどう定義し、どう打ち出すかが、集客手段の一つとして意味を持ち始めていると考えられます。
運営会社自身も人材紹介を行うプラットフォーム
AGENT PICKを運営するAtipは、自らも人材紹介事業を営む会社です。
リリースでは、同社エージェントに対するAGENT PICK経由の相談について、初回面談実施率が70%以上だったとしています(2025年1月〜12月、n=15)。
対象は同社エージェントへの相談に限られ、件数も15件と小さいため、サービス全体の数値として読むことはできません。
ただ、リリースが課題に挙げた『面談につながらない』という歩留まりに対し、担当者を選んでから相談する導線で応えようとしている意図は読み取れます。
また、同社は求人ボックスの運用代理店も手がけています。
求人検索サービスの審査基準の厳格化をリリースで背景に挙げているのは、こうした媒体運用の現場に近い立場からの問題意識とも考えられます。
2026年10月31日までの参画者には、インタビュー記事の作成または30秒以内の自己紹介動画の掲載サポートを無料で提供するとしており、担当者の『顔と得意領域』を見せる場づくりに力を入れていることがうかがえます。
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