
人材紹介単価460万円——フォースタートアップスが『ハイレイヤー特化』で伸び続ける理由
フォースタートアップスの2027年3月期 第1四半期で、人材紹介の平均単価が過去最高の460万円に達しました。
この数字は、同社が『ハイレイヤー(年収1,000万円級)特化』のエージェントとして築いてきた事業構造が、そのまま表れたものです。
単価の高さだけでなく、その裏にある事業の広げ方と経営の考え方を見ると、フォースタートアップスがどんな会社で、なぜ伸び続けているのかが掴めます。
出典一覧
- フォースタートアップス株式会社「2027年3月期 第1四半期 決算説明資料」/IR・企業情報
- 決算説明会 書き起こし:2027年3月期 第1四半期/2026年3月期 通期(ログミーファイナンス)
- 元ニュース:BigGoファイナンス
この記事の要点
- 単価460万円の正体は『値上げ』ではなく、決定の約45%が年収1,000万円超というハイレイヤー特化。フォースタは高年収帯の決定に強い
- 会社はこの460万円を『一過性』と見て単価は追わない。瞬間風速でなく、ハイレイヤーに張り続ける構造と再現性で伸ばしている
- 好調でも『面談→面接設定の転換率』を自ら課題として開示し、新卒・人材育成に投資。M&A仲介など次の柱も仕込み、スタートアップを丸ごと支えるインフラへ広げている
フォースタートアップスとは
2013年に人材事業として発足し、2016年に法人化、2020年に上場(現・東証グロース/証券コード7089)、2024年にはグループ会社との資本関係を解消して独立した会社です。掲げるのは『新産業の創出』——世界で戦える産業・企業・人を生み出し、日本の成長を支えるというミッションで、スタートアップ・成長企業を人・情報・資金の面から支える『成長産業支援プラットフォーム』を志向しています。
事業の中核は、成長企業向けにハイレイヤー人材を紹介する『ヒューマンキャピタル事業』で、連結売上の約85%を占めます。これに、スタートアップ情報プラットフォーム『STARTUP DB』、官民をつなぐオープンイノベーション、自己勘定に切り替えたベンチャーキャピタル、みずほ・三井住友海上・三菱UFJ信託と組んだ創業期支援『forSEED』、そして新たに立ち上げたスタートアップM&A仲介が続きます。従業員はこの2年で約210名から270名規模へと増えています。
何が起きたか
2027年3月期 第1四半期(2026年4〜6月期)は、売上高15億4,300万円(前年同期比+38.3%)、営業利益4億4,900万円(同+112%)、受注高16億3,500万円(同+20.6%)と大幅な増収増益でした。主力のヒューマンキャピタル事業がけん引し(セグメント売上+41.8%・セグメント損益+60%)、人材紹介の平均単価は『過去最高の460万円』に達しています。好業績ですが、会社は通期予想を据え置いており、姿勢はむしろ慎重です。
この460万円という数字と、その裏にある事業の設計を一つずつ見ていくと、フォースタートアップスという会社の輪郭がはっきりしてきます。まず、単価そのものの読み方から——
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トラキャリの視点:強さは「どの層を、どう決めているか」にある
人材紹介の手数料は、ざっくり『決定した人の想定年収 × 料率』で決まります。フォースタートアップスの460万円は、料率を上げたのではなく、決定年収1,000万円以上の案件が構成比44.9%(前年同期31.4%)まで増えた——つまり"誰を決めているか"のミックスがハイレイヤーへ寄った結果です。決定のほぼ半分が年収1,000万円超という、明確なハイレイヤー特化の陣形が数字に出ています。
注目したいのは、会社がこの460万円を『一過性』と見ている点です。決算説明会では、今後の単価は前期並みの『400万円前半台に落ち着く』見込みだと説明しています。単価という一時の数字を誇るのではなく、平均年収1,000万円級のハイレイヤー層に張り続ける構造そのものを強みにしている——ここに、瞬間風速でなく再現性で語ろうとする経営の姿勢が見えます。実際、前期は生産性指標『1人当たり決定件数』が0.43件から0.54件へ改善しており、単価と生産性の両輪で伸ばしてきたことが分かります。
好調でも課題を自ら開示し、人に投資する
好業績のなかで、会社が自ら課題として挙げたのが『面談から面接設定への転換率』です。新規求職者面談数が前年同期比+12.4%に対し、面接設定UU数は+10.3%と、入口(面談)の伸びに次工程(面接設定)が少し追いついていません。背景は新卒入社に伴う想定内の変化で、2025年に17名、2026年に15名と多くの新卒が加わり、経験を積む過程で一時的に転換率が下がりやすくなっています。
好決算でも都合の良い数字だけを見せず、伸びしろのある指標まで開示して人を育てにいく——この姿勢自体が、ハイレイヤー特化という戦略と地続きです。年収1,000万円超の意思決定を動かす支援は、求人票を渡すだけでは成立せず、目利きと関係構築という人の練度に支えられます。だからこそ、育成と組織づくりへの投資が、そのまま次の単価と決定件数を生む競争力になります。
事業の広げ方に見える「次のフォースタ」
フォースタートアップスは、人材紹介を第一の柱としつつ、スタートアップM&A仲介を第二の柱に据えています(累計支援15件、経営陣は今期中の初成約に手応えを示しています)。加えて、Post-IPO企業への人材支援の拡大、金融大手と組んだ創業期支援forSEED、情報基盤のSTARTUP DB、自己勘定投資のベンチャーキャピタル——スタートアップを人・情報・資金で丸ごと支える『インフラ』へと事業を広げようとしています。
年収1,000万円超の層では、候補者が複数のエージェントに並行登録するのが当たり前で、独占的な求人とスピードが成約を分けます。その世界で、単一の人材紹介にとどまらずエコシステム全体を押さえにいく設計は、ハイレイヤー特化の高単価を保ちながら、人への依存だけに頼らない成長軸を足す動きと読めます。AIが広がっても『意思決定のラストワンマイルは人が担う』という同社の立場は、この事業構造と地続きです。
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